紺碧の地図
◆闇との対峙
ゼンの行動は、素早かった。
「各自、戦闘準備。俺が扉を開けたら持ち場につけ。…合図するまで、動かないこと」
常に腰にある鞘から剣を抜き、焦る様子もなく船員に指示をする。
対して、みんなの動きも素早く、目つきが変わった。
…こういうときに、思い知らされる。
私とみんなの、経験の違い。
みんなが静かに戦闘準備を整えている間、私はただ黙って立っていることしかできなかった。
「…いいか、開けるぞ」
扉に手をかけたゼンが、みんなに一声かける。
そして一拍置いてから―――勢いよく扉を開けた。
「………!!」
それは、どこかで見た光景だった。
あれは…そう、イズラに初めて会ったとき。
大勢の"ラー"と思われる海賊たちが、私たちの船に乗り込んでいた。
薄ら笑いを浮かべている海賊たちを見て、私はごくりと喉を鳴らす。
この光景から、いい予感なんかまるで感じられない。