紺碧の地図
◆戸惑い、すれ違い
暖炉の中で燃える薪木が、パチパチとはぜる音が響く。
「え…?」
先程の嵐で冷えきった体を温めようと、毛布にくるまっていた私は、突然知らされた事実に耳を疑った。
いつになく真剣な表情をした、ゼンの姿。
大きく巻かれた包帯と、露わになっている無数の傷跡が痛々しい。
「…だから、もう一度言う」
理解できていない私に、ゼンは再度その言葉を口にした。
「あんたは、人魚の神の子だ」
…人魚の、神の子。
そんなことをいきなり言われたって、信じられない。
何も言葉を発せずにいる私に、暖炉のそばに腰かけていたニーナが立ち上がった。
「…ララ。この世界には三人の神様がいることを、知ってる?」
静かに首を横に振る私に、ニーナは壁に掛けられた絵画を指差した。
今まで全くその絵を気にしていなかった私は、初めてそこに描かれたものを見た。
空、大地、海…そして、三つの人の姿。