紺碧の地図

「ゼン。私は…どうすればいいの?」


人魚の神の子だということが、真実なら。


私はこの先、どう生きていけばいいんだろう。



私の問いに、ゼンは一瞬躊躇うような素振りを見せたあと、口を開いた。


「…あんたが神の子だろうと、俺たちの仲間だということに変わりはない」


「ゼン…」


「…ただ、あんたの命の価値は、あんたが思ってる以上に高い」


真っ直ぐに見つめ返されて、心が揺らぐ。


「だから俺たちは…知る必要がある」


その次に紡ぎ出された言葉は、さらに私の心を揺らがした。



「あんたが船に乗りたがった、理由を」



"いつか"は、突然やってくる。


心の準備ができていない、一番無防備なときに、突然。


「………っ」


言葉が、詰まる。


そんな私を見て、ゼンは続けた。


「その理由次第じゃ…あんたをこのま、連れて行くことはできない」


「…え?」



< 344 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop