紺碧の地図
「…誰かと話せることが、嬉しくて。私は彼に、全てを話した」
はち切れてしまいそうな、切ない気持ちを…全部。
「それから一週間、彼は私のそばで、笑顔をくれたの。私に…光を与えてくれた」
暗い絶望という闇を彷徨っていた私に、彼は確かに光を与えてくれた。
生きる希望を、与えてくれたの。
「彼は、まだ私と同じくらい小さかったのに…海賊だって名乗った。航海の途中だから、もう旅立たないと、って」
独りにしないで、と泣いてすがる私に、彼は困ったように笑った。
「そのかわり…約束したの。彼は、私をいつか必ず迎えに来るって。私は、彼を待つって」
今でも瞼を伏せると、思い出す。
月が優しく照らす中で、約束を誓ったときのことを。
「…待つって言ったのに、待たないんだ?」
ゼンにもっともなことを言われ、私は苦笑した。
「もう、十分に待ったつもりだよ。それに、待つだけは嫌だったの。私から…逢いに行きたかった」
逢いに、行きたかった。