紺碧の地図
「レキも、ゼンも。みんな一緒よ。一番大切なことは、誰にも言わない」
ニーナはゆっくりと、ゼンが消えた扉を開いた。
「…あたしも人のこと言えないけどね」
そうポツリと言い残して、ニーナも扉の奥へと消えた。
部屋に残されたのは、レキと私だけ。
気まずい空気の中、レキの叫び声が響いた。
「だ―――っ!! ごめんララちゃんっ!!」
突然レキに謝られ、私はびくっと体を震わせた。
「え…」
「俺のせいで、悪い雰囲気になったから…本当ごめん」
しゅん、とうなだれるレキを目の前にして、私は怒ることなんかできない。
平気だよ、と答えた私に、レキは申し訳なさそうに頭を下げた。
「…俺たちは、ゼンの過去を知りすぎてる。ゼンに近すぎるんだ」
レキは顔を上げて、だから、と続けた。
「…ゼンを救えるのは、ララちゃんしかいないんだ」
その言葉の意味が、今なら…少しわかる。
深く考えず、私はその言葉に頷いた。
―――ゼンを救えるのは、私だけ―――…。