紺碧の地図
「…ゼン」
真剣なその赤紫の瞳が、俺を咎めているように思えて、目を背けたくなる。
それでも、真っ直ぐに見つめ返す俺に、ララは言葉を続けた。
「ゼンは、何を恐れているの?」
…その言葉は、あまりにも予想外で。
すぐには返す言葉が見つからず、暫くララの様子を伺っていた。
ララは、何故か泣きそうな顔をし、俺を見ている。
そこでやっと、俺は口を開いた。
「…何で、そう思った?」
これは、俺がララの言葉を認めたようなもの。
けど、確かにそれが真実だからこそ、俺はそう訊き返した。
「なんとなく…だよ。遠くを見つめるゼンの表情とか。それに…」
ララは瞳を伏せ、自分の足元を見てから、また視線を上げた。
「…ゼンと私は、似てるから」
似ている。
俺と、ララが。
すぐに否定できたのに、それをしなかったのは、俺が一度でもそう思ったことがあったから。