紺碧の地図
「ねぇ、ゼン。私はゼンに、何度も助けられたよ」
「…そんなことないよ」
俺の言葉に、ララは首を横に振る。
「ゼンは、私に光をくれた。だから私も、ゼンの力になりたいの」
嘘でも飾りでもない真っ直ぐな言葉は、俺の心を揺るがせた。
…けど、素直に「ありがとう」と言えないのは、俺が闇に囚われているから。
―――光を、望んではいけない。
そう思わせる過去が、俺にはあるから。
「…俺が恐れているのは、それだよ」
ポツリと呟くと、ララは眉をひそめた。
「…それ?」
「…そう。与えられた光を失う。…それが、何よりも怖い」
怖い。
言葉にした途端、自分の弱さに呆れ、嫌になった。
ただ、それは紛れもない真実で。
「…失うくらいなら、初めから光なんていらない」
これは、俺がずっと心に秘めていた本音だった。