紺碧の地図

―――…



真夏の眩しい光が、容赦なく全てを照りつける。


「―――っ、」


浜辺を打ちつける波の音に、高い金属音が不自然に混ざり合っていた。


「…はい、終了だ」


その言葉が合図となったのか、俺の手のひらから、重たい感触が消えた。


砂浜に何かが落ちる音と共に、俺は自らの敗けを悟り、顔をしかめた。


「………ちっ」


「こら、舌打ちするなゼン。父さんの勝ちだぞ」


微かな笑みを浮かべ、父さんはその手に握る剣を鞘に収めた。


その様子を、ぶすっとしたまま見ていた俺は、その場に座り込んだ。


「何だ?いじけたのか?ゼン」


「…うるさい」


「ははっ、まだまだ子供だな」


屈託のない笑顔を向けるのは、俺の父さん…コウ。


俺はその太陽のような笑顔が、嫌いじゃない。



―――父さんは、海賊だった。


この世界にいる海賊では、"ルナ"と呼ばれている。



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