紺碧の地図
―――俺の為、か。
本当は知っている。
父さんが、俺に海賊にはなって欲しくないと思っていることを。
理由なんてわからないけど、沢山あるんだろう。
…けど、それは無理な願いだ。
俺の目標は、父さんなんだから。
船に乗り込むと、甲板では船員たちが慌ただしく走り回っていた。
「―――ゼン!」
俺が来たことに気づき、駆け寄って来たのは、
「お帰り、ゼン」
「…ただいま、母さん」
俺の母さん、ポーラ。
母さんの柔らかい黒髪が、風に靡く。
優しく微笑むその顔に、俺も僅かに口角を上げた。
「…出航の準備は?」
「バッチリよ。ゼンは心配しなくていいから、たくさん遊んできなさい?」
ふふ、と笑う母さんに、俺は少しムッとした。
いつまでも、父さんと母さんは俺を子供扱いする。
俺だって、立派な海賊の一員なのに。