紺碧の地図
幼い頃から常に一緒に過ごしていたから、血が繋がってないと言われても実感がわかない。
「ま、大人って呼ぶにしても物足りないけどな」
俺の頭をポンと叩きながら、サンは笑った。
「…結局、サンまで子供扱いしてるし」
その手を払い退け、俺は甲板をぐるりと見渡した。
今すぐにでも出航出来そうだな、と思ったちょうどその時、父さんの声が響いた。
「おーい!今戻ったぞー」
陽気な声に、船員たちが顔を上げては、「遅い」と野次を飛ばす。
けどみんなその表情は柔らかく、父さんに信頼を寄せていることがわかった。
「よし、」
歩を進め、船の中心で足を止めると、父さんは呼吸を整えるかのように息を吐いた。
…そして。
「サンは、ここでお別れになる」
―――耳を、疑った。
それは俺だけじゃなかったようで、ざわざわと空気が揺れ出した。
振り返ると、母さんとサンが静かに微笑んでいる姿が目に入る。