紺碧の地図
父さんたちは大分前に行ったから、鉢合わせする心配はないはずだ。
「…よし」
自分自身に気合いを入れ、俺は一歩を踏み出した。
なるべく足音を立てないように、俺は静かに歩き続けた。
辺りは不気味で、気のせいか悲鳴のようなものが遠くから聞こえてくる。
しばらく歩くと、廃墟のような建物が増えてきた。
その外観に顔をしかめながらも周囲を見渡していると、バタバタと足音が聞こえた。
「逃げたぞ!探せ!」
「まだ近くにいるはずだ!! 絶対逃がすなよ!」
条件反射で、俺は近くの廃墟と廃墟の隙間に潜り込んだ。
…と。
「―――、」
目の前の光景に、俺は思わず息をのんだ。
自分と背丈が変わらない少年が、身体中から血を流しながら、そこにうずくまっていた。
「…っ、おい…」
俺が駆け寄ると、少年はその瞳を俺に向けた。
誰も信じないというような、冷たい瞳で。