紺碧の地図
建物の中に入ると、予想を裏切るほど大勢の人がいた。
そこから知った顔を見つけた俺は、すぐに近くの壁際に身を寄せた。
…父さんたちだ。
それぞれが浮かない顔で、壁の中央にある時計を気にしていた。
深夜二時を回った頃、アナウンスが響き渡った。
『大変長らくお待たせ致しました。間もなく、闇市場が開催されます。お客様は速やかに会場へお入り下さい』
待ってましたと言わんばかりに、客たちは嬉々として会場へと向かった。
このあとに始まるものに、俺は嫌悪感しか感じない。
それでも、目立たないように人混みをくぐり抜け、一番端の席に着いた。
ライトが照らされ、司会者が中央に現れる。
この場には不釣り合いな歓声と拍手に、俺は眉をひそめた。
『さて、それでは早速始めましょう!エントリー№1、レキ!』
その瞬間、俺は目を見開いた。
そう、そこに引きずられるようにして現れたのは―――あの少年だった。