紺碧の地図
「…離せクソッ!触んな!!」
『おやおや、なんとも威勢がいいようです!みなさんいかがなさいますか!?』
椅子に座らされ、体を縛られる中で暴れる少年…レキを無視し、司会者は話を進める。
「10アクト!」
「俺は15だ!」
徐々に上がる金額、歓声。
この場で起こっている何もかもが、おかしい。
この広い世界の、小さな闇を目前にしたと思った。
喚き、暴れていたレキが、やがて諦めたかのように大人しくなり、顔を上げた。
―――目が、合った気がした。
「………っ、」
このままじゃいけないと、ただそう思った。
俺が立ち上がると同時に、その凜とした声が響いた。
「1000アクト」
あれだけ異様に盛り上がっていた会場が、一気に静まり返った。
俺と同じように立っている人物の、見慣れた背中が目に入る。
「聞こえないのか?1000アクトだ」
父さんが再び口を開く。
その声には、怒りが含まれていた。