紺碧の地図

『せ…1000アクトですか?そこまで出さなくても…いや、こちらとしては嬉しいですが…』


あまりの金額に、司会者は動揺したようだった。


そんな司会者に、父さんは淡々と言い放つ。


「この子だけじゃない。今日売られる子たち全員を、1000アクトで俺が買い取る」


その瞬間、会場内がざわつき始め、司会者も更に困惑した表情を見せた。


『…え、えーと。それは…』


「何だ?金額は十分だと思うが、何か不満でも?」


こんなにも怒りを露にする父さんを、俺は初めて見た。


こんなに離れていても、声から…その姿から、怒りが伝わってくる。



司会者の傍に、他の役員らしき人物が駆け寄り、何か耳打ちをした。


司会者はそれに頷き、再びマイクを口元に運んだ。


『では、決定しましょう。貴方はこの場に残ってください。それ以外のみなさん、お疲れさまでした』


観客の野次が、会場に飛び交う。


何十人もの役員たちによって、俺たち観客は外へと押し出された。



< 377 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop