紺碧の地図
「俺はコウさんに、一生ついていくって決めたんだ」
そう言い残して、レキは戦場へと消えていった。
一人取り残された俺は、悲しみすらも感じなかった。
自らを待っているのは、絶望だけだと―――そう、感じた。
その時だった。
「―――ゼン」
目の前に現れた人物に、俺は一瞬言葉を失った。
見覚えのある、真紅の髪。
「サン…?」
三年前、一人旅立ったサンがそこにいた。
「…久しぶりだな」
そう言って、微かに微笑んだサンは、どこか大人びていたけど、他はあまり変わらなかった。
ただ一つ、全く変わってしまっていたのは。
「―――相変わらず弱いな、お前は」
その、心だった。
「え…?」
冷たい瞳を向けられ、俺は体が強張った。
サンなのに、サンじゃない。
そんな気持ちが、じわじわと俺の心を侵食していく。