紺碧の地図
乾いた唇を開き、俺は訊ねた。
「天空人がいると、バラしたのは…」
最後まで言い終わらないうちに、答えは届いた。
「―――俺だよ」
その瞳はもう、俺の知っているサンじゃなかった。
「―――っ、何で!!」
俺は力一杯、サンの体を壁に叩きつけた。
「お前は…お前は父さんと母さんを…俺を、売ったのか!?」
俺の叫び声に、サンは眉一つ動かさなかった。
ただその冷たい瞳で、俺を見ていた。
「…そうだよ」
「………っ」
どうして、どうして。
そう心で問いかけても、サンには届かない。
項垂れる俺を、サンは優しく突き放した。
「俺が憎いか?」
何かを楽しむように、サンは不気味に笑った。
「ゼン。お前は今、殺す価値がない」
「………」
「だから生きて、強くなれ。そして俺を…殺しに来い」
呪文のような言葉を残して、サンは俺に背を向けた。