紺碧の地図
「…レキ、生きてたんだ」
「はぁ!? お前失礼にもほどがあるだろっ」
素直な感想を言っただけなのに、レキの説教が始まった。
…よかった。一人じゃない。
そう付け加えるタイミングを逃した俺は、適当にレキに返事をした。
「あれ、目が覚めたんだ?」
誰かの声に、俺とレキは一斉に口をつぐみ、声のした方向を見た。
そこには、艶やかな黒髪を一つに結わえた、少女が立っていた。
「…何?そんな目で見なくてもいいじゃない」
どこか刺のある言い方で、俺は自分が眉をひそめていたことに気がついた。
…あんなことがあったせいで、知らない間に警戒心が強くなっている。
「ははっ、君勝ち気だね。名前は?俺はレキ…」
馴れ馴れしく近づいたレキに、その子は拳を奮った。
レキは俺の横に倒れ込み、きょとんとした顔で彼女を見た。
「…は?」
「は?じゃないわよ。馴れ馴れしく触んないでよバカ!」