紺碧の地図
その形相に、レキの笑顔がひきつっているのがわかる。
そんな光景を見て、俺は思わず笑ってしまった。
「ちょ、笑うなよゼン!あの子超こえー」
「何ですって!? あんた初対面なのに失礼なのよ!!」
「はぁ!? 失礼なのはそっちだろ!?」
女には見境なく口説き始めるレキが、こうもつっかかるのは初めてだった。
珍しい光景を暫く黙って見ていると、また違う声がした。
「こーらっ、ニーナ!やめなさい」
「~お姉ちゃん!」
…一瞬のうちに、目を奪われた。
透き通るような白い肌に、ふんわりとした黒髪。
くっきりとした二重に、大きな瞳。
柔らかい笑顔を向け、彼女は艶やかな唇を開いた。
「…初めまして。わたしはクレア。この子は妹のニーナよ」
すぐさま反応を示したのは、レキだった。
「はいはい!俺、レキです!よろしくクレアさん!!」
「ちょっ、あんたあたしには一言ないわけ!?」