紺碧の地図
ついさっき、俺たち"ルナ"と、"ラー"が衝突し、一戦を交えた。
敵はそれほど強くはなく、俺たちは軽い怪我程度で済んだ。
「…平気だよ」
「平気じゃないわ!」
俺の答えに、クレアは声を張り上げた。
「わたしが、ちゃんとしてないから!わたしがっ…、弱いからよ」
クレアは、軽い発作を持っていた。
だから、ニーナのように武術に長けているわけじゃなかった。
さらに女のクレアは、敵の目にとまりやすく、標的にされやすい。
狙われたクレアを庇い、俺は腕に切り傷を負った。
「…たいした傷じゃない。すぐ治るよ」
俺が天空人の末裔だということは、レキ、それにニーナとクレアにしか言ってない。
天空人の治癒力が異常に強いことを、クレアは知っているはずだった。
「それでも…ゼンは傷ついたわ」
けどクレアは、俺や他の誰かが自分を庇って傷つくことが、堪らなく辛いらしく、いつも悲しそうな顔をしていた。