紺碧の地図

クレアは瞳に涙を溜め、俺の包帯にそっと触れた。


「…わたしが強ければ、ゼンが傷つかずに済んだのに」


俺は無傷だった方の腕で、クレアをそっと抱き寄せる。


人の温もりが、こんなにも心地良い。


「…クレアは、俺が護るよ」


俺の言葉に、クレアはゆっくりと顔を上げた。


「ゼン…」


そして俺たちは、どちらからともなく唇を重ねた。


いつからだったかは、はっきりとは覚えていない。


ただ、気づけば俺たちは、恋人同士になっていたんだ。



離れた唇を、幾度となく重ね合わせる。


「…ふふ」


急に笑ったクレアに、俺は彼女の涙を拭いながら訊いた。


「…どうしたの」


「ううん…幸せだなぁって思って」


そう言って、笑顔を浮かべるクレアが…堪らなく愛しかった。


俺はクレアを、優しく抱きしめる。



…離したくない。


もう、大切な人は失いたくないんだ―――…





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