紺碧の地図
「今を精一杯生きたいの。あなたがわたしを護ろうとしてくれているのなら…わたしも、あなたを護りたいの」
「………」
「わたしを必要として。ゼン。あなたの重荷にだけはなりたくないわ」
…必要としてる。
クレアが愛しくて愛しくて堪らないんだ。
でも俺にとって、君は。
そばにいて笑ってくれていれば、それでいいんだ。
「…クレア。お願いだ、残ってくれ」
俺の願いに、クレアは傷ついたように瞳を細めた。
「…そう。わたしは、ゼンの力にはなれないのね」
そう言って微笑んだクレアの顔は、悲しみに歪んで見えた。
「………っ、」
俺が何かを言う前に、クレアは背を向けて部屋へと消えた。
拳を握りしめたとき、不意に背後から声が聞こえた。
「…ゼン、お前さ」
その声にゆっくり振り返ると、無表情のレキがそこにいた。
「お前は…護り方を間違えてる」
―――間違えてる?