紺碧の地図

「今を精一杯生きたいの。あなたがわたしを護ろうとしてくれているのなら…わたしも、あなたを護りたいの」


「………」


「わたしを必要として。ゼン。あなたの重荷にだけはなりたくないわ」


…必要としてる。

クレアが愛しくて愛しくて堪らないんだ。


でも俺にとって、君は。


そばにいて笑ってくれていれば、それでいいんだ。


「…クレア。お願いだ、残ってくれ」


俺の願いに、クレアは傷ついたように瞳を細めた。


「…そう。わたしは、ゼンの力にはなれないのね」


そう言って微笑んだクレアの顔は、悲しみに歪んで見えた。


「………っ、」


俺が何かを言う前に、クレアは背を向けて部屋へと消えた。


拳を握りしめたとき、不意に背後から声が聞こえた。


「…ゼン、お前さ」


その声にゆっくり振り返ると、無表情のレキがそこにいた。


「お前は…護り方を間違えてる」


―――間違えてる?



< 406 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop