紺碧の地図
誰よりも周りのことを想って行動するのは、ゼン。あなただよ。
護りたい何かがあるから、強くなりたいって思える。
…それはきっと、幸せなこと。
「ゼンは…強いよ」
私の髪をさらうゼンの手の動きが、ピタリと止まる。
「ゼンは自分で思ってるより絶対、心が強いよ」
何回も絶望を経験し、たくさんの大切な人を失った。
それでも、ゼンは生きてる。
―――ちゃんとここにいて、笑えてるんだよ。
「大丈夫。ゼンは独りじゃないよ!」
私が独りじゃないように、ゼンも独りじゃない。
みんなが、いるから。
「…ありがとう」
私の笑顔に、ゼンも微笑み返してくれた。
ほら。
ゼンは笑顔を失ってないもん。
「…えへへ」
嬉しさと恥ずかしさが込み上げてきて、私は顔を伏せた。