紺碧の地図

気づけば、私の腕は引っ張られていて。


私の体は、ゼンの胸にすっぽりと収まって―――え?


「!!!!????」


今この状況に、私の頭は瞬時にパニック状態になる。


私…何で?

ゼンに抱きしめられてる!?


「~~~っ、」


どうしようどうしよう。


突然の出来事に頭が追いついていかず、どんどん顔が熱くなる。



―――とくん



僅かに聞こえたその音が、ゼンの心音だとすぐにわかる。


とくん、とくんと規則的に繰り返されるその音を聞いて、私は落ち着きを取り戻した。


ゼンの腕の中が心地よくて、瞳を閉じかけた…そのとき。



「くぉら―――――ッ!!!!」



大声と共に、ゼンの部屋の扉が勢いよく開いた。


「!?」


その姿を見た私は、慌ててゼンから離れる。


「レ…レキ!ニーナッ!?」


そう。

扉の奥には、レキとニーナがいた。



< 413 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop