紺碧の地図

「ゼンてめぇっ!! 何ちゃっかりララちゃん抱きしめてんだよっ!!」


「…レキ、扉壊すな」


「話丸ごとムシ!? てか壊してねぇしっ!!」


レキが喚きながらゼンに近寄ると、ゼンは鬱陶しそうな顔をした。


ぎゃあぎゃあ騒ぐレキを呆然と見ていた私の耳に、小さな笑い声が届く。


振り返ると、ニーナが楽しそうに笑っていた。


「全く、どうしてあの二人って正反対なのかしら」


あー苦しい、と言ってニーナはお腹を押さえた。


「ニーナ…」


「ん?」


「もしかしてずっと、扉の外にいたの?」


じっと見ながら私が訊ねると、ニーナは肩をすくめた。


「ごめんね、レキがどーしても聞き耳立てたいってきかなくて」


ニーナの言葉にいち早く反応したのは、ゼンの両肩を掴み揺すっていたレキ。


「ニーナてめっ!! いいわね~とかノリノリだったじゃねぇかっ!!」


「あーら、何のこと?」



< 414 / 545 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop