紺碧の地図
「ゼンてめぇっ!! 何ちゃっかりララちゃん抱きしめてんだよっ!!」
「…レキ、扉壊すな」
「話丸ごとムシ!? てか壊してねぇしっ!!」
レキが喚きながらゼンに近寄ると、ゼンは鬱陶しそうな顔をした。
ぎゃあぎゃあ騒ぐレキを呆然と見ていた私の耳に、小さな笑い声が届く。
振り返ると、ニーナが楽しそうに笑っていた。
「全く、どうしてあの二人って正反対なのかしら」
あー苦しい、と言ってニーナはお腹を押さえた。
「ニーナ…」
「ん?」
「もしかしてずっと、扉の外にいたの?」
じっと見ながら私が訊ねると、ニーナは肩をすくめた。
「ごめんね、レキがどーしても聞き耳立てたいってきかなくて」
ニーナの言葉にいち早く反応したのは、ゼンの両肩を掴み揺すっていたレキ。
「ニーナてめっ!! いいわね~とかノリノリだったじゃねぇかっ!!」
「あーら、何のこと?」