紺碧の地図
リジェが護ってくれたこの命を、私の生き方で、今度は自分自身で護らなきゃ。
「…どうしたの、ゼン」
隣から送られてくる視線に気づいた私は、速まる鼓動を抑えながら訊ねた。
ゼンは何かを考えるように黙ったままで、私が眉をひそめると、ふっと笑みを零した。
「…何でも」
「え?ちょっ…ゼン!?」
そのまま去っていくゼンの後ろ姿を、私は呆然と見つめた。
な…何?
てっきり何か言われるかと思ったのに…。
ゼンの言葉や表情は、心臓に悪い。
昨日、あんなことがあったから特に―――…
「………」
ゼンに抱きしめられた時の感覚が蘇って、全身がかぁっと熱くなる。
「…あら。ララってば顔赤いわよ?熱?」
「っ!だ、大丈夫っ!何でもないっ」
ニーナに顔を覗き込まれ、驚いた私は慌てて否定する。
こんなあからさまな態度じゃ、私の気持ちがバレるのも時間の問題。