紺碧の地図
「…なんでわざわざこんな造りにしたのかな…」
私がポツリと呟いた疑問を拾ったのは、聞いたことのない声。
「―――知りたい?」
その声に驚いて振り返ると、長身の男の人が立っていた。
「…誰」
不審に思ったのか、ゼンが私を庇うようにして前に立つ。
ゼンの視線に男の人は一瞬怯んだあと、すぐに笑った。
「そんな警戒しなくても!俺、ただの街人だよ」
「…ただの街人が、俺たちに何の用」
ゼンの質問に、男の人は「うーん、」と唸ってから私に視線を移した。
「君たちに…っていうか、そこの女の子に用事かな」
「え?…私?」
驚いて目を見開くと、男の人はにっこりと笑いながら頷いた。
「待て待て待てっ!」
戸惑う私の肩を、ぐっと引き寄せたのはレキ。
眉間にシワを寄せたまま、噛みつくような視線で男の人を睨んだ。