紺碧の地図
「嘘でしょ、って顔してるね」
笑いながら話しかけられ、私は海賊旗から視線をジークへ移した。
「…だって…"ラー"でしょ?」
私の疑問に、ジークは頷く。
そして、太陽に照らされたその船を見上げた。
「…"ラー"だよ。ただ彼らは、例外なんだ」
「例外?」
「そう。確かにやってることは同じだけど、狙うのは"ラー"だけなんだ」
やってることっていうのは、金目の物を奪ったりする、卑劣な行為。
それを…弱い人間じゃなくて、同じ"ラー"だけを狙ってるの?
「そしてその戦利品を、彼らはこの街に持ち帰る。…それで、この街は成り立っているんだ」
ジークの話を、私はどうしても信じられなかった。
それなら、やってることは"ルナ"と同じなのに。
なのに何で…"ラー"を名乗って、人を助けるようなこと…。
黙ったままの私に、ジークは優しく微笑んだ。
「会ってみればわかるよ」
私はそんなジークの顔を見つめた。