紺碧の地図
◆心
…夢、なのかもしれない。
けど、肌を突き刺す冷たい風が、夢じゃないと教えてくれる。
「ロジー…でしょ…?」
私の掠れた声が、嫌に大きく響いた。
私たちを取り巻く空気だけ、やけに静かな気がする。
「ロジー?…人違いだろ。俺はサンだ」
冷たい瞳、冷たい口調。
私の記憶の中のロジーとは、限りなく遠いのに。
でも…私の心が、彼がロジーだって叫んでる。
「嘘…嘘でしょ…!?」
「…ララ」
すがるようにロジーを見ると、ゼンが困ったように私の名前を呼ぶ。
ごめんね、ゼン。
私はどうしても…確かめたいの。
「―――ララ!?」
私が一気に走り出すと、ニーナの驚いた声が背中にかけられる。
私が向かうのは、ロジーのもとじゃない。
どこまでも広がる…青い、空。