紺碧の地図

ゼンがかけてくれた上着を、ぎゅっと強く握る。


「…どうして…?」


か細い声でそう呟いて、ゼンを見る。


「どうしてゼンは…そんなに私のことを心配してくれるの…?」


ゼンの瞳が、僅かに揺れた。



…ねぇ、ゼン。

ゼンは優しすぎるんだよ。


この状況で、どうして私の心配をしてくれるの?



彼がもし、ロジーじゃなくて…ゼンのお兄さんだったら。


私を心配するより先に、言いたいこととかあるでしょ?



私の問いに答えず、躊躇っているゼンを見つめていると、ふと考えが浮かんだ。


―――――どくん


その考えに、心臓が大きく脈を打つ。



もしかして…

ロジーと、ゼンのお兄さんは…


「…ララ。俺…」


ゼンの言葉を遮ったのは、私の信じたくない予想。



「―――同一、人物?」



私の言葉に、彼はまた冷たく笑った。


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