紺碧の地図
「俺は、結果的に"ラー"になった。海の怖さも、それを上回る人間の恐ろしさも知った」
サンの言葉一つ一つを聞き逃してはいけない気がして、俺はサンをじっと見つめた。
「…その全てを知った時、俺は自分が汚れていたことを自ら悟った」
「………!」
サンは自分の胸にそっと手をあて、一気に胸元の服を掴んだ。
「それに気づいた時、迎えに行けないと思った。…ララは汚れたらいけないと、強く思ったから」
ため息をついたサンは、俺に問い掛ける。
「なぁ、ゼン。ララの瞳は、真っ直ぐだろ?」
「………」
「出逢った時も、今日再会した時も。…綺麗な澄んだ瞳だった」
そんなこと、俺にも分かっていた。
ララの瞳はいつだって、間違った答えを映してはいなかった。
純粋な真実だけを、ララは映し、行動に変えていた。
…それは決して、誰にでも真似できることじゃない。