紺碧の地図
そんな俺を、サンはどこか呆れた表情で見ていた。
そして、ゆっくりと口を開く。
「…ゼン。俺は、ララに逢えて嬉しかった」
サンの言葉に合わせるように、風が強く吹き抜けた。
綺麗な赤い髪が風にさらわれる様子が、やけに遅く感じられる。
「ララが俺を忘れていなかったことも、俺を捜してくれていたことも。嬉しくて…愛しいって、思ったんだ」
サンの瞳は、真っ直ぐに俺を捉えて離さない。
「―――俺は、ララについてきて欲しいと思ってる」
返す言葉が見つからないのは、それが当然だと思ったからか。
それとも逆に…嫌だと、思ったからか。
「…だけどな、ゼン」
サンの真剣な表情が、僅かに揺れる。
―――ああ、きっと。
「―――お前も、ララのことが好きなんだろ?」
…サンには、俺の気持ちなんかお見通しだったんだ。