紺碧の地図
その声に振り返ると、数人の人影が見えた。
…どうしよう。
このままじゃ捕まる…!
どうすればいいのかわからず、その場に立ち尽くす私に、彼は問いかけた。
「…あんた、海賊に追われてんの?」
再び、どくん、と心臓が跳ねた。
「―――そう。だから、あなたも早く逃げ…」
「逃げないよ」
そう言って、彼は私に背を向け、徐々に迫り来る海賊たちの方へ歩き出した。
その行動に、私は目を丸くする。
「…ちょっ…、何する気!?」
返事の代わりに、彼は腰の鞘から長剣を抜くと、空にかざした。
月の光を吸い込むように、長剣の刃はキラキラと輝く。
…嘘でしょ?
海賊相手に、戦う気?
視線を動かすと、海賊はすぐそこまで迫って来ているのが分かる。