紺碧の地図
◆月の涙
見上げる先には、大きな海賊旗。
風に靡く太陽のマークが、朝日に照らされて眩しく光った。
「―――ララ!?」
誰かが船の上から顔を出したけど…逆光で見えない。
けど、声でわかる。
「ジーク…?」
「うわ、本物?取りあえず上がって来いよ」
船に掛けられた梯子を、一段ずつ登っていく。
甲板に足をつくと、太陽の光で一瞬目が眩んだ。
「…来てくれたんだな、ララ」
その声に目を細めると、鮮やかな赤が目に飛び込んでくる。
ゼンの船より、倍以上はいる海賊たち。
その中心で、私を真っ直ぐに見据えているのは―――…
「―――――サン」
私が名前を呼ぶと、サンはゆっくりと、けど確実に私に近づいて来る。
私の目の前で立ち止まると、サンは複雑そうな表情を浮かべた。
「いいのか?俺たちの船で」
「あれ、私は必要ない?」
私が意地悪くそう言うと、サンは珍しく慌てた。