紺碧の地図
「…寂しがらなくていいよ」
「えっ?」
いつの間にか隣にいたサンが口にした言葉に、思わずドキッとした。
私が驚いた顔で見つめると、サンは笑う。
「この街には、三ヶ月に一回は帰ってくるから」
「…あ…そっか、そうだね」
話が街のことだとわかった瞬間、急に自分が恥ずかしくなった。
自分で決めたはずなのに、私―――…
「…ゼンたちのことだと思った?」
核心を突かれた私は、言葉を失った。
そんな私の反応は肯定しているも同然で、サンは少し悲しそうに微笑んだ。
「引き返そうか?別れの挨拶くらい…」
「いらないっ!」
思わず口から出た大声に、サンは目を丸くする。
私はハッとして口をつぐむと、深呼吸をした。
「…ありがとう、サン。でも大丈夫」
サンから、目を逸らしちゃダメだ。
決めたのは、私。
今更ゼンたちに逢って…何を言えばいいのかわからないよ。