紺碧の地図
嫌な考えを振り払おうと、頭を振る。
日没まで、そんなに時間はない。
みんなに…お礼を言ってまわらなきゃ。
「ジーク、本当にありがとう!」
再度ジークにお礼を言うと、私は走り出した。
太陽は、辺りを真っ赤に染めて沈んでいった。
代わりに顔を出した月が、様子を伺うように淡い光を放つ。
甲板に立つ私の周りを、みんなが囲んで立っていた。
そこには、やっぱり赤い髪は見当たらなかった。
「じゃあ…そろそろ行くね」
「でも、まだサンに別れ言ってないんだろ?…ったく、何やってんだあいつは」
ジークの舌打ちに、私は曖昧に笑う。
…一応、サンの部屋の扉を叩いて、今夜行くって言っておいたんだけど…返事はなかった。
嫌われたんじゃないかと思うと、胸が痛む。
「サンは…きっと、私の顔見たくないんだよ。だから大丈―――」
「―――――誰が誰の顔を、見たくないって?」
頭上から降ってきた声に、顔を上げる。