紺碧の地図
マストの頂上、見張り台の上に…影が見えた。
太陽のように燃える真っ赤な髪が、月に照らされて輝いている。
その姿は、目を奪われるほど印象的だった。
「―――サン…?」
私が名前を呟くと同時に、サンはロープを使ってスルリと落ち、優雅に着地した。
サンは真っ直ぐに私の前まで歩くと、立ち止まって…笑った。
その眩しいくらいの笑顔に、涙腺が緩む。
「サン…私っ…、嫌われたかと思った」
「は!? …そんなわけ、ないだろ」
サンは困ったように頭を掻き、言葉を続けた。
「俺は今だって、ララにそばにいて欲しいと思ってる。同じ道を、歩んで行きたいと」
「………」
「でも、分かってる。ララが進むのは、俺の描く道じゃない」
その表情が、あまりにも優しいから。
今まで我慢していた涙は、簡単に零れ落ちた。
「サン…っ、ごめ…」
「謝るなよ?それが、ララの選んだ正解なんだから」
涙に濡れた瞳でサンを見上げると、少し悪戯に口角が上がった。