紺碧の地図
「ララ。俺はこの日を、新たな第一歩にしたいと思う」
「え…?」
サンはいつの間にか右手で握っていたロープを、力強く引いた。
途端に、新しい帆が風に靡いて現れた。
太陽とドクロのマーク…ではなく。
太陽と―――――月?
私が目を奪われている中、サンが口を開いた。
「ずっと…これを作ってた。どうしても、船の帆をこのマークにしたかったんだ」
涙が、頬を伝う。
言葉が出ないくらい、綺麗で…素敵だと思った。
「俺が太陽なら、ゼンは月だと思う」
サンはそう呟くと、私の頭を撫でる。
「ララも…月だと思うよ」
「…サン」
サンは笑って、自らが作った帆を満足そうに見上げた。
「太陽と月が一緒にいるのも…悪くないよな」
溢れた涙は、止まることを知らず、流れ続ける。
それでも私は、太陽と月が寄り添う姿から、目を離せなかった。
誰も…何も話さない。
波の音と、優しく揺れる帆の音が、静かに鳴り響いていた。