紺碧の地図
◆◆◆
穏やかな風を受け、Queen号は出発した。
賑やかな食堂で、美味しい朝ごはんを食べ終えた私は、一人甲板へと足を運んだ。
港町、ウィラ―――…
遥か遠くに見えるその場所を、私は目を細めて見つめた。
家族を失った私が、辿り着いた場所。
あなたと出逢えた場所…。
「…ごめんね」
待つだけは、もう嫌なの。
信じてる。
信じてるから、私から会いにいきたい。
約束の場所から、私は旅立つけど。
約束は、失われたわけじゃないから。
だから―――…
「…会いたいよ、ロジー…」
私の声が風に乗って、あなたの元へ届けばいいのに。
この海が、私をあなたの元へ連れてってくれればいいのに。
暫くの間、私は甲板に立ち尽くしていた…