紺碧の地図
「…ガキはすっこんでな!!」
凄まじい速さで間合いを詰め、海賊が剣を振り下ろす。
キイィン
思わず目を覆った手を、恐る恐る開くと、指と指の隙間から見えた光景。
…彼は、避けるのではなく、自らの刃で受け止めていた。
海賊の表情が、一瞬驚きに変わる。
「…俺は、騎士じゃない」
相手の海賊が、力いっぱい剣を押しているのにも関わらず、彼は微動だにしなかった。
「…っ、じゃあ何者だ!?」
喚くような海賊の問いに、彼は凛とした声で答えた。
「海賊だ」
私が息を呑む音は、幾度となく交わる剣と剣の金属音にかき消された。
彼が、海賊たちを一人、また一人と斬り伏せていく姿を、私はじっと見つめていた。