紺碧の地図
◆舞う、堕ちる
急な突風に煽られ、街路樹がザワザワと揺れた。
立ち止まった私の髪を、風はさらっていく。
「―――…」
目を逸らすことが、出来ない。
だからこそ、レキの瞳を見たらわかる。
…レキは、確信してる。
私に、海賊と"何か"があったと。
でも、確定的な言い方じゃなくて、問いかけてくれた。
私に、首を横に振る時間を与えてくれたの。
―――泣きたくなった。
「…レキ、ありがとう」
震える唇を動かし、私は微笑んだ。
「変なの。俺何も良いことしてねーよ?」
苦笑するレキに、私は首を振った。
…ううん。
レキは、優しい。
どうしてみんな、こんなに優しいんだろう。
ゼンのときもそうだった。
優しさに触れたから、信じてみようって思った。
…話してみようって、思ったの。