紺碧の地図

「…人魚たちの住む楽園が、海底にはあったの」


止まっていた足を、ゆっくりと動かす。


私の隣を、レキが様子を伺いながら、歩幅を合わせて歩いた。


「私はそこで、楽しく暮らしてた。…悲劇が訪れたのは、私が十二歳のとき」


忘れもしない、悪夢のような日々。


「ある海賊船に、私たち人魚は捕まった。それを助けようとした人魚の夫たちも」


突然頭上から降ってきた、大きな金網。


次々に海底へ飛び込んできた、海賊たち。


「成人した人魚と夫たちは奴隷として働かされ、成人間近の人魚たちは売り払われた。子供たちは…しばらく監禁状態が続いたの」


暗い暗い、小さな小部屋。


そこで、手首と足首を鎖で縛られ、目隠しをされ…朝か夜かもわからないまま、一日を過ごした。


「…ただ、辛かった。でも、辛い出来事は残酷にも…連続して起こるものなんだね」


そう、本当に突然の―――出来事。



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