紺碧の地図
「ある日、大部屋に、みんなが集められたの。久々の再会に、喜んでる暇なんてなかった」
そう。
そこで突きつけられたのは、残酷な言葉。
「…お前たちをみんな殺す、って言われた」
その場にいた誰もが、耳を疑っている隙に、人魚の一人が斬りつけられた。
その叫び声が響き渡ったとき、自らの辿る運命に…気づいたんだ。
「恐怖の戦場と化すのに、時間はかからなかったよ。信じられない光景が、ただ目の前に広がるばかりだった」
悲鳴を上げ、逃げ惑う人魚たち。
それを獣のごとく追いかける、海賊たちの雄叫び。
彼女たちを護ろうと、海賊たちを相手に戦う、夫たち。
小さな子供たちは…ただ、息を殺して、部屋の隅で震えるしかなかった。
「…何でかな。気づいたら、船は炎に包まれていて。私の瞳には、真っ赤な景色しか映らなかった」