我がままな王子
「あのぉー…」
いきなり背後から声をかけられ
びっくりして振り向くと、1年の
女の子が二人立ってる。
もしかして…黒川ファン!?
ヤバイ!もしかして呼び出し?
私と黒川は何でもないって言わな
いと。
「は、はい?」
引きつった笑顔で返事をすると、
女の子の一人、ツインテールにし
た方が口を開いた。
「佐々木センパイですよねぇ?」
「う、うん、そうだけど?」
この次に一体何を言われるのかと
思わず身構える。
うぅ…1年相手に情けない。
「あのォ~あたし達ィ~、1年
5組なんですけどォ~うちの
クラスの池上って奴がァ~、
先輩のファンでェ~」
「へっ?」
ずいぶん間延びした話し方で、思
わず聞き返してしまう…。
「これ渡してって言われたんです
けどォ~」
もう片方のショートカットの子が
ポケットから手紙のようなものを
差し出した。
「え、これ何?」
「ラブレターだと思いますゥ~
今時古くさいけどォ!」
キャハハと二人は笑い、私は無言で
それを受取る。