我がままな王子


「あのぉー…」

いきなり背後から声をかけられ
びっくりして振り向くと、1年の
女の子が二人立ってる。

もしかして…黒川ファン!?
ヤバイ!もしかして呼び出し?
私と黒川は何でもないって言わな
いと。


「は、はい?」

引きつった笑顔で返事をすると、
女の子の一人、ツインテールにし
た方が口を開いた。

「佐々木センパイですよねぇ?」

「う、うん、そうだけど?」

この次に一体何を言われるのかと
思わず身構える。

うぅ…1年相手に情けない。


「あのォ~あたし達ィ~、1年
5組なんですけどォ~うちの
クラスの池上って奴がァ~、
先輩のファンでェ~」

「へっ?」

ずいぶん間延びした話し方で、思
わず聞き返してしまう…。

「これ渡してって言われたんです
けどォ~」


もう片方のショートカットの子が
ポケットから手紙のようなものを
差し出した。

「え、これ何?」

「ラブレターだと思いますゥ~
今時古くさいけどォ!」


キャハハと二人は笑い、私は無言で
それを受取る。

< 17 / 38 >

この作品をシェア

pagetop