我がままな王子
その時。
「バカ女、何してんだ」
ハッ…!
そういや黒川の存在忘れてた!
ゆっくり振り返ると、ぶっちょう
面の大魔神が背後に…。
「べ、べ、別に何も」
取り立ててやましい事もしてない
のに、私は慌てて取り繕ってる。
「なんだこれ」
黒川は目ざとく私の持っている手
紙をみつけると、スッと横取りし
た。
「ちょ、ちょっと!」
伝書鳩の二人は、なんだか険悪な
雰囲気を感じたのか、そそくさと
退散する。
『はじめまして、僕は1年5組の
池上神楽と言います。
実は佐々木先輩の事が前から好き
で…』
そこまで読み上げられて、慌てて
手紙をひったくり返した。
「勝手に読まないでよ!」
「ラブレターか、携帯のある時代
にアナログな奴だ」
特に興味もなし、と言った感じで
黒川は私の手からブレザーを取る
と、行ってしまった。