我がままな王子
…家来とか言いながらも、たまに
わからない所を教えてくれたりも
した。
ブレザーを投げてよこしたのも、
私が寒そうにしてたからだと
思う。
ううん、そう思いたい。
キツイ罵倒もたくさんあったけど
その代わりに優しくなる瞬間もあ
った。
あの時、見せてくれた笑顔は何だ
ったんだろう。
私はあの時、初めてあなたに恋し
た気がしたのに。
「由比、いる?」
一階のトイレにこもってると、
智香がコンコンとノックした。
結局一時間目の授業はさぼって
しまった。
智香に心配かけちゃったなあ…。
「あのさ、先生には具合悪いって
言っといたから。心配しなくてい
いよ」
「ごめんね…」
「それより、顔、見せて。なんか
心配だよ」
「うん…」
トイレの個室から出ると、智香に
抱きしめられた。