我がままな王子
「あれは…無視したんじゃない。
お前と1年が話してたから、邪魔
しちゃ悪いだろうと先に行っただ
けだ」
「…それだけ?」
「他に何があるんだ」
なんだ…じゃあ、完全に私の独り
相撲だったんだね…。
嫌われたって勝手に思って勝手に
泣いて、バカみたい…。
そこで、ようやく私は黒川からゆ
っくり離れた。
「ご、ごめん…」
「何に対しての謝罪だ?」
その瞳は、冷酷、じゃなく
真摯に私をみつめてる。
そんな瞳でみつめられたら、今さ
らだけど、ドキドキする。
「えっと…勝手に誤解してへこん
でた事と…」
「事と?」
「…今抱きついちゃった事…」
ああ、穴があったら入りたいぐら
い恥ずかしくなってきた。
一時の感情とは言え、なんて大胆
な事をしたんだろう私。
「ほんとにごめん」