我がままな王子


「あれは…無視したんじゃない。
お前と1年が話してたから、邪魔
しちゃ悪いだろうと先に行っただ
けだ」

「…それだけ?」

「他に何があるんだ」


なんだ…じゃあ、完全に私の独り
相撲だったんだね…。

嫌われたって勝手に思って勝手に
泣いて、バカみたい…。


そこで、ようやく私は黒川からゆ
っくり離れた。


「ご、ごめん…」

「何に対しての謝罪だ?」

その瞳は、冷酷、じゃなく
真摯に私をみつめてる。


そんな瞳でみつめられたら、今さ
らだけど、ドキドキする。

「えっと…勝手に誤解してへこん
でた事と…」

「事と?」


「…今抱きついちゃった事…」

ああ、穴があったら入りたいぐら
い恥ずかしくなってきた。


一時の感情とは言え、なんて大胆
な事をしたんだろう私。

「ほんとにごめん」

< 30 / 38 >

この作品をシェア

pagetop