我がままな王子
「なんで謝る」
「抱きつかれた事…イヤだったで
しょ」
「別に」
黒川はクルッと背を向けると、本
に目を落とした。
あ、また耳が真っ赤…。
「イヤじゃない」
ねぇ、私うぬぼれてもいい?
あなたが好きです。
あなたもきっと…私と同じ気持ち
でいてくれてるよね?
「黒川君」
好きって言いたい。
今なら、言える気がする。
ツンデレで、サディスティックだ
けど、本当のあなたは優しいって
事も。
多分、私だけが知ってる、本当の
あなたの姿。
私をあなたの彼女にして欲しい。
「私…あのさ…」
「ん?」
「私…」
「なんだよ、早く言えって」
そうやってぶっきらぼうに言うの
も、照れ隠しなんだよね。
「私、あなたが…」
好き…と、のどまで出かかった時
だった。