Right Cross


(あなたには力があります。…そして、私の代わりにこの地を守ってほしい…)



あたしに…



この地を守る力が…





アヤはそっと目を閉じ、手に力をこめる






「…分かりました。やります。…まずはその宝玉の場所に行けばよいのですね?」



(…はい。ただ…)




「ただ…?」





(力を込めるには、かなりの力が必要です。…アヤの命の保障はできません)





じゃあ…もしかしたら死んでしまうかもしれない



でも、みんなが幸せになれるなら。





「それでも構いません。」




(……分かりました。では、私が持つ力をあなたに与えます。迷ったら…呼びなさい。私はいつでもあなたの傍にいます)




「シリア様…………」





(ありがとう、アヤ。けして無理をしないで…そして自分を見失わないで。)







そう言うと女神の像から光が溢れ、一つの光線となりアヤに降り注いだ








どくん…どくん……








力が、力が湧いてくる…







アヤは女神の像に頭を下げ、宝玉にそっとキスをすると走りだした








「アヤ様!!!!!」








入り口には、ロイドやステル達がいた





「………父上。」




ステルを見上げると、彼はすべて悟ったかのようにそっと微笑んだ。




「…行きなさい。…かならず、無事に帰ってくるのだよ、愛しい娘よ…」





「…っ父上…」





二人は涙を流しながら抱き合った





「…アヤを一人で行かせる訳にはいかぬ。…ロイド、シェイル。お前達に護衛を頼みたい」





「「はっ。命をかけて姫をお守りします」」






ステルは頷く。



「…途中で、その土地に詳しい騎士を合流させる。みなの無事を祈っているぞ」





アヤとロイド、シェイルは静かに頭を下げ準備をする為に走りだした



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