Right Cross
覚醒
準備が整い、ロイド達は残る騎士に爆発があった場所への救助を命じた
アヤは軽いドレスに着替え、騎士やメイドに挨拶するとロイドと共に馬に乗った
静かな森の中を進む
「…とりあえず、隣のグリンコース国に行こうぜ。あっこが一番近い」
アヤもシェイルに賛成してそっとロイドの胸に体をもたれかけた
「アヤ。」
「ん……?」
「…俺が、絶対守るから。だから、一人で抱えこむんじゃねぇぞ」
アヤを抱く腕にぎゅっと力を込める
「ありがとう…」
アヤの目から一粒の雫がこぼれ落ちる
あたしは一人じゃない
絶対、負けない…!
三人は固い決意を胸に、馬を走らせるスピードをあげた
しばらく行くと、湖が見えてきたのでそこで休憩をとることにした
馬を降り、アヤの為に薄い布をひく
火をおこし、その周りに三人は座った
「とりあえず、宝玉の場所に行ったらいいんだよな?」
「うん。そこからはあたしがやるから。…二人は心配しないでね」
そう言って笑うアヤは、どこか寂しげでロイドとシェイルは胸がつまった
疲れたのか眠ってしまったアヤに布をかけ、ロイドは静かに言った
「…アヤはさ。昔っから辛いとか嫌だ、とか言わねぇんだ。」
「姫らしいな。無理ばっかしてると、壊れちまう」
「おれらが、ちゃんと支えてやんねぇとな…」
切なげに呟いた言葉は、夜の闇に静かに消えていった