Right Cross
親友
明け方、ようやくグリンコースに着くと真っ先に城へ向かった
門の前に立っている騎士は敵襲かと思い、さっと剣を構える
「何者だ!!」
「私はアステリア帝国の騎士だ。…姫が倒れたんだ!至急援護してほしい!!」
緊迫した様子の二人、そして彼の腕の中にいる姫に驚きながらも、分かったと頷くと馬を止めさせた。
「…っ陛下!!!!」
バタン!とノックもなしに扉を開ける
「…どうしたの。俺、今起きたばっかりなんだけど。ノックしなよ…こんな朝早くに何か…」
あったの?と聞こうとしたが、騎士の後ろにいる人物に気がつき立ち上がった
「…アステリアだよね、その服。何かあった?陛下からは何も連絡なかったけど?」
じっと二人を見つめ、近づいていくと何かに気付いたのか視線をロイドの腕に移した
「…なっ!!…アヤちゃん…?」
「突然来てしまい申しわけありません。私はアステリア帝国騎士団長のロイドです。隣はシェイル。事情により旅をしていたのですが、姫が倒れてしまったのです。どうかアイル陛下のお力を貸していただきたい!」
アイルは驚いていた。
どうして三人という少人数で旅をしていたのか。
どうして親友であるアヤがこんなことになっているのか。
呆然としていたアイルだったが、はっと意識を戻す
「…すぐに医師を呼べ。この部屋には誰も近付けるんじゃないよ。」
「はっ。すぐに向かわせます!」
走り去って行った騎士より随分と若く見えるアイルだが、実際二十歳ながらも、この国を統治する力の持ち主だった